誤り訂正技術の基礎

会社にいる、私の尊敬する大先輩かつメンターから紹介して頂いた本です。HDDのRead Channelにも使用されているLDPC符号について分かり易く説明してあります。著者の和田山先生は、日経エレクトロニクスでもLDPC符号の実践的な構成法というセミナー記事を書いているなど、LDPCに関して学術研究者以外の人に対しても精力的に情報発信を行っています。

この本の記述はとてもツンデレです。難しい数学的な表現でものごとを定義した後には、必ず分かり易く噛み砕いた表現で数式が意味する内容を説明してくれます。著者の、研究者として数学に厳密でありたいという気持ちと、教育者としての人柄の素晴らしさが現れていると思います。ページ数がそんなに多くないので、なんとか心が折れずに最後まで読みきることが出来ます。あと、各章の最後に演習問題とその回答がついている点も素晴らしいです。ただ、ハードウェア設計者を特に対象とした本ではないために、ハードウェアでの実現方法に関する説明は一切ありません。例えば、ガロア体の演算をハードウェアでどのように実現するか、というようなトピックはカバーしていません。