CPUの創りかた

自作のCPUなんて、例えばverilogで書いてシミュレーションしたりとかFPGAに焼いたりするだけなら簡単なものを、わざわざ74シリーズのLSIを組み合わせて設計するという酔狂な本。CPUの各部の機能とその設計方法について、ちょっとしつこいほど丁寧な説明が書いてあります。デジタル回路を専門に設計している人が読むと物足りないかもしれませんが、アナログ回路屋さんやソフトウェア屋さんにとってはCPUというものを非常によく理解できるとても良い本です。

とにかく、設計者の目線でCPUの開発の手順が説明してあるのがとても嬉しいです。4bitというとてもシンプルなCPU (*1)ですが、「回路を簡略化するにはどんな点に注意を払えば良いか」などの設計のコツのようなものは、より大きなCPUの設計にも通じるものがあると思います。

(*1) データバスが4bit, アドレスバスが4bit, CPUの命令長は8bitとなっています。

googleで検索すると、自作されている方の日記がちらほらと見つかりました。あと、この本ではワイヤーラッピングで配線していますが、プリント基板を設計された方もいるようです。
http://d.hatena.ne.jp/ussy9/20090506/1241621558

それにしても、内容はとっても真面目な本なのに、表紙の絵はもう少しなんとかならないのでしょうか?ちょっと手にとるのをためらいました。

CPUは半導体の王様です。CPUの自作というのは、電子工作好きの人の心をくすぐるようです。海外には、もっと強力なCPUを74シリーズのみで自作した人がいます。74シリーズのICを200個以上使用したCPUは、その名もHomebrewCPU(自家製?CPU)です。しかも、そのCPU用のOSや各種のソフトウェアも開発しており、そのCPUを組み込んだコンピュータをweb serverとして動作させています。
http://www.homebrewcpu.com/