シリセン - Silience

シリセン - Silience は、グラフェンのような構造をSi原子で実現した物質です。蜂の巣状に結合したSi原子が平面的に広がっているような構造をしています。その電気的特性もグラフェンに似ており、電子の有効質量がゼロになって、電子が超高速で移動する(=電気抵抗値がほぼゼロになる)ような状態を実現できることが期待されています。ただ、もうトランジスタの動作にも成功して、アプリケーションを視野に入れた研究が盛んになっているグラフェンと比べると、シリセンの研究はまだまだこれからの段階です。その理由の一つは、グラフェンには簡単な生成方法が発見された(ノーベル賞になった研究は、スコッチの強力粘着テープを使ってグラファイトの表面から剥がしとったグラフェンを測定した)けど、シリセンにはまだそれほど効率的な生成方法が見つかっていないからだそうです。

IEE Spectrum, The Quest for 2-D Silicon
Si版グラフェンの「シリセン」、北陸先端大が初めてSi基板上に作製

シリセンの電気的特性は、まだ実測できていません。その理由は、今までのことろシリセンは導電性の基板の上でしか生成できていないために、抵抗を測定しようとしても、基板の抵抗が見えているのかシリセン自体の抵抗が小さいのか区別出来ないからです。また、同じ理由で、シリセンでトランジスタを作成することも難しいようです。

昨今のニュースを見ると閉塞感ばかりの半導体業界ですが、こういう新しい物性の発見は大きなイノベーションの萌芽となりそうで、とても面白いですね!