半導体の最先端製造工場

Save Our Semiconductors
GlobalFoundries(*1)という半導体ファウンドリが、US$55億 (5000億円)かけて最先端の28nmのCMOSロジックプロセスの工場をUSのNY洲に建設するそうです。NY洲が選ばれた理由の一つに、総額US$12億 (1000億円)の優遇策を設けたためです。USでは、半導体を国内に残すべき製造業の最後の砦?として優遇しているように思います。上の記事によると、GlobalFoundries以外にも、IntelがUS$60億 以上の投資をOregonの工場に行う予定だそうです。

これに対して、日本ではルネサス・エレクトロニクスが28nm以降の先端プロセスの自社開発・製造は行わないことを表明しています。東芝フラッシュメモリに、エルピーダDRAMに集中にしているので、日本国内には最先端のCMOSロジックプロセスを開発する会社も製造拠点も無くなることになります。28nmは、2012年頃に製品が出回り始め、その5年後の2017年頃(*2)には汎用製品までに幅広く使われる主流のプロセスになります。つまり、2017年には、日本から先端CMOSロジックプロセス製造業という産業自体が消滅してしまいます。どの年代にどのプロセスが主流になるかは業界のRoad mapから確実に予想できます。何か思い切った対策を採らない限り、2017年に先端CMOSロジックプロセス製造業消滅という未来は必ずやってきます。例えば、一刻も早く日本はファウンドリを設立すべきに書かれたような対策が必要だと思います。政府が半導体産業を支援するべきかは良く分かりませんが、現状では、CMOSロジック製造に関して政府の支援の受け皿となる会社自体が存在していないことになります。

(*1) AMDの製造部門が母体となっている会社。AMDから製造部門がspin-offして、Abu-dhabiの投資ファンドからUS$100億くらいの資金を調達して、最先端のCMOSロジックLSIの製造に投資している。
(*2) 40nmの初期製品のLSIがかなり広まってきた2010年でも、まだ売り上げで見ると2世代以上前の90nmや130nmの方が大きいことからの類推。