CMOS OPアンプ回路 実務設計の基礎

なんとなく買って読んでみましたが、あまり可も無く不可も無い本です。CMOSオペアンプ回路を理解するために知っておくべき基礎的な項目がカバーされています。しかし、「この本を読んでも、オペアンプを自分で設計できるようにはならないだろうなー」と思います(そもそも、そこまでのレベルを想定していない本なのかもしれませんが)。初めてCMOSアナログ設計を行う人が、既存の回路図を見て理解するようにはなれると思います。本書のタイトルは、正しくは「CMOS OPアンプ回路の解析の基礎」であるべきです。

内容よりも気になったのが、筆者の華麗な経歴です。筆者は、早稲田大学の大学院で修士をとってセイコーエプソンに入社して数年働いてから、アメリカの西海岸にあるOregon State University (*1)でPh.Dをとって帰国し、現在では母校の早稲田大学で准教授として活躍されています。その能力と、行動力には感服いたします。筆者を応援する意味でも、一冊購入しても良いのではないでしょうか。

(*1) Oregon State Universityは半導体設計の業界ではとても有名な大学です。また、この大学のあるPortlandという市の周辺には、Intelを初めとするエレクトロニクス系の企業の拠点がいくつかあり、ミニ・シリコンバレーのようにハイテク都市として発展しています。