CELL

いつの間にか会社に入ってから4年間が過ぎてしまいました。私は大学での専門とは異なることを会社で行っていますが、大学の専門(大学3,4年、院1,2年)の4年間と同じだけの期間を会社で半導体に携わって過ごしたことになります。それにしては、半導体の事は全く良く分かっていないけど

改めて半導体の人になってしまった事を踏まえて世の中を見てみると、絶対に外せないニュースとしてソニー、 東芝IBMの3社連合で開発したMicro Processor (開発code名:Cell)の発表があります。

Cellの技術的な内容は日経エレクトロニクスなんかで散々紹介されています。(私の手元に日経エレクトロニクス(紙)が漸く届いたので、やっと読むことが出来た)。日経の雑誌の記事はよくまとまっていて読みやすいですが、提灯が多いような気がして、いまいち信用できません。(例えば、Cellではない他社のISSCCの発表で、日経では褒めちぎっていたけど会場の評価は全く違ったものがあった)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/HONSHI_TOP/20050223/101958/

それよりも、私にとってはMassa POP Izumida氏の記事の方が受け入れやすいです。
http://www.atmarkit.co.jp/fsys/zunouhoudan/057zunou/cell_processor.html

また、Cellというのが単なるProcessorを超えたPlatformの開発とするならば、ビジネス面から見たPlatformの開発手法として正しかったのでしょうか? 技術的には、十分に業界の流れに乗りつつ更にその1歩先を行く先進性を示していると思います。でも、業界のトップ企業を3社そろえたその開発体制にちょっと古さを感じます。Processor(というかPlatform)の開発が成功するには、技術的な面は半分で、残りの半分はビジネス面だと思いますが、ビジネスの進め方にも何か革新があれば凄いと思います。まあ、今から明らかになっていくのでしょう。

大上段に見ると、これは巨大プロジェクトのリスクを社会的にどのように分担するのか、という話にもつながると思います。CELLに関しては、ソニー, 東芝, IBMという巨大企業が中心になりました。3社の底力を示していると思います。しかし、そのうちの1社であるソニーでは、今回経営陣が交代することになりました。次の経営陣もCELLに対して投資を継続するとは言っていますが、なんらかの方向修正がはいるでしょう。また、旗振り役であるソニー久多良木さんが降格したことから、CELLをTVやホームサーバにも搭載する(ソニーの社内のすべての事業で採用する)という方向からは、少し弱まるでしょう。

誰がどのような形でプロジェクトのリスクを負担し、技術開発を牽引していくのか、これからも注目していきたいです。